2011年12月の家具職人日記

本棚と飾り棚 製作1


アメリカンチェリーを使って本棚と飾り棚の製作に取りかかっています。
岸和田の服部商店さんから送ってもらった材をにらみながら、木取り作業をしていきます。

「木取り」とは文字通り、材料から必要な大きさの木を取っていく作業を言います。
チョークで線を引きながら、適材適所に決めていきます。製品の仕上がりを決めるとても重要な
作業です。
実は、個人用(娘用)にも同じ本棚を作ろうかと目論んでおりましたが
残された日数を勘定し諦めました、、。
 
 

木取って、荒削りをしたら、しばらくこの状態で置いておきます。
シーズニングといって、後々の材の反りを少しでも軽減する為の処置です。
 
 

そんな時、金沢美大の学生さんから卒業製作の作品の製作依頼を受けました。
中にカッティングシートで絵が描かれたアクリル板が何枚か入ります。
レイヤーを変えるように、絵を変えれるという仕組み。
2月頃に21美で展示されるそうですよ。

両サイドは染色をしてから仕上げたんですが、なかなかいい感じになりました。
簡単そうに出来てますが、前から見た時に四方がトメになるように組んでいるので
わりと加工は複雑です。
組み立てる前の写真を撮っておくんだったな、、。
 
 

ところで、福井では1週間程前から雪が降っています。
おっ、粉砂糖がかかったケーキ(クリスマスシュトレン)みたいで山が美味しそう
と思ったのもつかの間、寒くて、寒くて。既に全身ヒートテックです。
福井での家具作りは寒さとの戦いです。


H邸のスツール 完成

H邸の為にデザインされたスツールが完成し、先日納品に伺ってきました。
(気がつけばもう1ヶ月前の話なんですが・・・) 
 
  
デザインは設計の荒谷さんから3Dで頂いていたんで、仕上がりのイメージは大体つかめて
いましたが、組み上がったスツールを見てドキッとしました。「かっこいい!」 
 

脚にはバーチの積層合板を、座面には杉の柾目を使用しています。
合板のストライプと柾目のストライプが調和していい感じです。 
 
 

後日、設計の荒谷さんにも納品に。(全部じゃないですよ)
樹種違いでという事だったんで、手持ちの材料で8点製作し選んで頂く。 
 
 

折角なので積んでみる。いい!キレイ!
今までスタッキングの利点をあまり考えた事が無かったですが
8脚のスツールがこれだけのスペースに収まってしまうのはかなり魅力的。 
 
 

杉の源平を使った座面。製作途中でこれは使える!と思い急遽採用。
全体のデザインの中で座面のインパクトが強くなりすぎてしまう感じもしましたが
8脚の中の1つということで、アリかと。 
 
 

こちらはアメリカンチェリー。 
上品でかわいい感じです。 
 
 

ナラ拭き漆。
シブイ感じで和の空間にも馴染むんではないかと思います。 

 


H邸のスツール 製作

夏に竣工した荒谷省午建築研究室設計のH邸にはまだ重要な仕事が残されていました。
スツールやベンチ、下駄箱等の置き家具です。
H邸では建築だけではなく置き家具も荒谷さんによってデザインされています。

ずいぶんとお待たせしてしまいましたが、ひとまずスツールのみ完成たので
その製作過程を。


今回の製作ではちょいと訳あって、とりあえず2台を試作として製作しました。
その製作で見えてきた問題点を修正し本製作に取りかかります。
本製作では座面の樹種違いを含め8台製作しました。

スツールの脚にはバーチの積層合板を用いています。写真で見て分かるように3本脚です。
組み立て用のジグを作りダボと接着剤を使って組み立てます。


脚が組み上がったところ。増殖していく結晶のようにも見えなくもないです。


このスツールはスタッキングが可能です。まだ脚だけですが、とりあえず積んでみる。
 
 

座面を準備します。座面は杉をベーシックとしてその他に、ナラやウォールナット、アメリカンチェリー
などを用意。なんだか美味しそうです。
 
 

塗装はオイル塗装を施します。その下準備としてサンドペーパーで磨き、水で濡らし(水引き)ます。
やっぱり美味しそうです。

後は座面と脚を組み立てれば完成です。


椅子の研究


椅子を作ってほしいという依頼があり、椅子の研究を進めています。
長時間座っていても疲れない椅子を、という事でハードルが高いです。

とりあえずは、名作椅子の3Dデータをダウンロードし分析。
多分あと10脚位はデータがダウンロード出来るはず。
インターンに来てもらっているT君にこれから3面図を作成してもらいます。
このデータは今後の製作にも非常に役に立つものになるに違いありません。

それから、1/5scale模型でも作ってもらおうかな。
いや、せっかくうちの木工所に来てるんだから原寸の方が面白いかも。

で、問題はこれだけの名作椅子を見てしまった後で
オリジナル椅子をデザインしないといけないって事なんですよね、、。


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